同級生の肉体に溺れた元自衛官。定年後に始まった危険な関係③

それから数日後、ジムに行くとカオリさんがおばさん達とトレーニングをするいつもの姿がありました。
すると周囲の目が届かないところで、スマホを見るようにとジェスチャーをするカオリさん。

トレーニングを終えメッセージを確認すると、

『良かったらこの前の店でお茶しましょう。聞いて欲しいこともあるから』

平日の昼下がりの店は空いていて、店内の一番目立たない席でカオリさんは待っていました。

聞いて欲しいことがあるというメッセージが気にもなったので、カオリさんの誘いに応じた真人さん。

「ヨガは十数年前に始めたんだけど、だんだんのめり込んじゃってね、独学でいろんな知識もつけるようになって。そんなのもあって、今の教室の先生から資格を取って講師をやってくれないか、って誘われたのね」

九月が終わろうというのに蒸し暑い昼間、程よく効いた店内の冷房で疲労した身体の熱が冷めるのが心地好いものの、聞いて欲しいってこういう話だったかと後悔していると、

「それで講師を始めて間もない頃、レッスン中に同年代の生徒さんの周りに赤黒いモヤみたいなものが見えたの。他の生徒さんは気付かないから私だけに見えてるんだと分かってね。最初は自分でも信じられなかったけどはっきり赤黒く覆われてるから、ああこれがオーラなのかなって」

「オーラ?」

「そう。それでどう見てもオーラはその生徒さんの身体から出てるの。どうやら胸の、左胸の辺りから出てるのが分かってね。しかも赤黒いオーラは、上手く言えないけど良くないイメージだったのね、でもオーラが出てますよなんて言えないじゃない。だからレッスンが終わった後にね、左の胸辺りの動きに違和感があるから、気を付けてみてくださいね、って」

ストローに口をつけ、喉を潤すカオリさん。

「そしたら生徒さんがびっくりして、なぜわかるんですかって。誰にも言ってないけど最近左胸に小さなシコリが見つかって来週手術することになってる、ってね。その後手術は成功して五年以上経っても転移や再発も無く、元気に教室に通ってくれてるの。それ以降なのね、オーラが見えるようになったのは。色や濃さなんかも様々だけどそれがどんな種類のものなのかはイメージで伝わって来るの。身体の不調だと感じたものはヨガで改善できればレッスンでアドバイスしたり、病院じゃないと治らないものにはこっそり教えてあげたりしてね。何故わかるのか説明できないものだから、あまり言わないようにって口止めしてたけど無駄よね。そういう話は広まるのが早くてね。でもおかげで感謝されていろんなお礼も頂いたし、慕ってくれる人も増えたわ」

にわかには信じがたい話でした。どう言葉を返していいか戸惑う真人さんの様子を察したのか

「タチバナ君、肩こりが辛いでしょう。だんだん酷くなってきたもんね。特に右肩の状態は良くないね。放っておくと自律神経を損傷するかもしれないよ」

カオリさんの言う通りでした。定年後ドライバーの仕事を始めてから肩こりが酷くなり、特に右肩は夜眠れなくなるほど辛い時がありました。

「この近くでね、来月から自分のスタジオを開くことにしたの。タチバナ君が良ければそこで少しみてあげようか?」

コーヒーショップを出て車で五分ほどの距離にある雑居ビルの二階がカオリさんのスタジオでした。

スタジオの中は内装を終えたばかりのようで、エスニックな柄の壁紙や新しい建材から糊のような臭いが漂ってきます。
シンプルな造りですがさりげなく絵画や雑貨がバランス良く配置されてました。

少し待ってて、とバックヤードに消えたカオリさんは手にマットを持って戻ってきました。床に敷いて真人さんに座るよう促すと横に座って同じ動きをするようにと目の前の壁の大きな鏡越しに言います。

カオリさんの指示に従い、一通りストレッチを終えると今度はカオリさんが施術をするように真人さんの肩をほぐし始めます。冷房を効かせているものの、肩に触れる手が異常に冷たく感じます。

肩がだいぶ楽になり、そんなことも出来るんだ?と驚くと

「プロじゃないけど患部に触れてるとわかるのよね。解しているうちに感じるの、どこをどう解せばいいかってね。ただそこまで集中しだすと私の身体にも反動があるから」

カオリさんは大量の汗の粒が額からこぼれ落ちそうになっていました。

身体は冷たいのに汗が浮き出ている状態が辛そうで申し訳なく思い「だいぶ楽になってきた。ありがとう助かったよ」と声を掛けると、

「タチバナ君って昔から紳士的よね。そこが女の子から好かれるところだったし、女の子の扱いも上手いものね。でもあまりに淡白過ぎると物足りなくなる子もいるのよね。タチバナ君の育った環境のせいかな、お姉さんばかりの姉弟だったでしょう確か。でも環境のせいで小さい頃からずっと押さえ込まれてきた本当のエネルギーみたいなものをね、タチバナ君の性格上ずっと表に出さないでここまできたのね。でもそのエネルギーを解き放って面倒だと思わないで向き合ってみると、人生が豊かになってくると思うの

そう言って真人さんを見ながら、今度は背中を上から下へ撫でるように手を動かすカオリさん。

「何を言い出すのかなって思いましたよ。確かに特殊な能力みたいなものをね、彼女が持ってるのは事実だし嘘はなかったけど」

やがてカオリさんの手は背中からお尻の方に伸びて、太ももの近くを緩く撫で始めます。するとカオリさんが熱く湿った息をするようになると、

「手をね、僕のズボンの中に入れてきたんです。すると性器をギュッと強く掴んだりしながら愛撫を始めたんですね」

カオリさんを見ると潤った目でしっかりと見つめ返してきます。

「今思えばですけど、肩を解している時から僕の性欲をね、彼女が呼び出してたんだと思うんです」

そしてカオリさんは

「さっき私にも反動があるって言ったでしょ。解きほぐしてると私のそういうエネルギーがね、凄く高まってくるの。性的なエネルギーが抑えられなくなってくるのね。だからほとんどここまですることはないのよ、タチバナ君ほら」

真人さんの手を、自分の性器に触れさせるカオリさん。

「彼女の股の中が、ぐっしょりとぬれてるんです。ヌルッと指が濡れた性器に吸い込まれるように入っていくんですよ。すると私の性器を掴む手に力を込めるんですけどその動作で身体の奥からムズムズする不思議な感覚を初めて味わったんです。それで今までにない性欲が沸いてきて静かなスタジオの真ん中で服も脱ぎ捨てて、裸になって夢中でお互い愛撫をし始めました」

真人さんの性器を強く掴んだ手はゆっくり上下し始めます。射精しそうになると掴んだ手にさらに力を込めて、睾丸を包んだもう一方の手を引っ張って射精にブレーキを掛けるカオリさん。射精が収まりそうになるタイミングでまた同じ動きを繰り返します。

真人さんの口の中をまさぐり絡ませる舌が性器の中で絡める指に合わせるように動くと、こらえきれず喘ぎ声を出すカオリさん。

「すると上になって、僕の性器を挿入し抱きついた彼女を下から突き上げていたんです。合わさった身体と繋がった性器の境界が曖昧になって、彼女と自分が一体になったような錯覚が起こると我慢できずにそのまま射精したんです」

二人は抱き合ったまま動けずに、身体がおさまってくるのを待ちました。

真人さんがようやく口を開いて、中に射精したことを詫びると、安心して今日は大丈夫だから、と言うのでした。

「家に帰ってしばらくぼーっとしてましたね。何ていうんですかね、使ったことがない能力を使ったみたいな、爽快感もあるけど疲労してましたね。そんな様子だったから妻から、今日はずいぶん疲れてるのね、なんて言われてドキッとしたりね。でも思ったほど罪悪感が無いんですよ、勝手なもんでね、もちろん妻が大事だから家庭に影響がでるようなことは絶対しないつもりでしたけど」

カオリさんとはその後、どうなりましたか?

「頻繁に会うようになりました。彼女のスタジオがオープンするまではジム帰りにスタジオの中で、オープンしてからはモーテルに通ってましたね」

淡白だった真人さんを変えてしまうほどカオリさんとの相性が良かったということですか?

「そうですね」

そう言うと思い出すように

「彼女から言われたのは僕の中の性欲は育った環境のせいで押し込められていたそうなんです。元々の性格もあって余計に表に出なかったエネルギーを私が解放してあげた、って言ってました。何度身体を合わせても凄く良かったですよ、彼女とのセックスは。でもセックスの快楽にのめり込む一方で、どこかで終わりにしないとダメだと分かってはいました。浮気なんてずっと続けられないだろうし、妻と別れることなんて、考えられないことでしたから」

カオリさんはどう思っていたんですか。

「彼女はそんな罪悪感というか、危機感は持ってなかったですね。いつか誰かにバレそうで怖いね、なんて言うと、タチバナ君心配し過ぎよ。私達が喋らなければ誰にも知られないから大丈夫、って言ってました。それである日ふと思い立って妻が家に居ない時、ずっと奥に仕舞っていた卒業アルバムを探したんです。やっぱり思い出せなかったんですよ、ヤジマカオリの名前も顔も。本当に小中と同じだったのかって。それでようやく見つけたアルバムをめくってみると、確かにいるんです彼女が」

思い返しているのか、少し表情が曇ってくる真人さん。

「まあ、顔がね、全然違うんです当時と。面影ってあるでしょういくらなんでも。輪郭も違えば目鼻立ちも違う。幼い頃の彼女は東洋人らしく鼻が低くて目と目が離れて垂れててね。口は薄くて大きくて顔は真ん丸でね。今は面長で目がきりっとして鼻筋も通ってるし別人なんですよ。これじゃ誰が見ても同じ人物だと思わない。じゃあ整形でもしたのかって思うけど本人にそんなこと聞けないでしょう」

一呼吸おくように、グラスに入ったコーラに口をつけます。

「よくわからなくなってきてね。これ以上彼女と関わるのは良くないって思えたんです。そんな時ふと思い出してあの店をオープンさせた元同期の彼に連絡したんですよ」

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〖プロフィール〗

〖妻と愛犬と暮らす50代サラリーマン〗

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