恵まれた生活より…愛犬と歩む人生を選んだ女性①

犬と女性

若い頃から女癖が悪く遊び好きな夫

結婚後も変わらなかった夫に離婚への意思を固め恵まれた生活より愛犬と歩む人生を選んだ女性

今回お話しを伺うのは千葉県在住の里子さん(仮名)五十歳。
4月の暖かい日の昼間、ファミレスで彼女と待ち合わせました。

爽やかなドアベルの音が聞こえると、春らしい淡いピンクのブラウスを着て現れた彼女。
やや背が高く、タイトなデニムパンツがスタイルの良さを際立たせています。
肌艶も良く、まるでスポーツインストラクターのようで五十歳とのことですが実年齢よりだいぶ若く見えます。
そのことに触れると、

「健康になったのは犬のおかげなんです」
と少し照れて微笑みます。

聞けば早朝と夕方の二回、時間にして一日二時間以上は愛犬の散歩に行くそうで
「お陰でくたびれて夜はぐっすり眠れますね」
そう言う彼女はとても幸せそうに見えます。

「離婚したのは三年前の秋です。離婚した年の始めから息子の大学受験で慌ただしく、春に息子を送り出して自分の準備をしていたら半年近く掛かりました。その間、ひょっとして私はこのまま一生ここで終えるのか、と自分が半分死んでしまったような気分でした。そう思うと今は恵まれていて幸せです」

そんな里子さんですが結婚から離婚に至るまでずっと孤独を感じながらいろんな苦労をされてきたそうです。
里子さんはどんな人生を歩んできたのでしょうか。
元夫との出会いからお話しを伺いました。

裕福で優しい元夫。デートを重ねるうち結婚を意識するように

「元夫とは職場の方と参加した飲み会で知り合いました。私の実家とは二つ離れた都市に住んでいて父親が興した土建屋を三人兄弟で継いでいると事前に聞きました。てっきりガテン系のやんちゃな感じの人が来ると思っていたら…外見が真逆の人だったんで少し驚いたんです」

痩せて背はさほど高くはなく、肉体労働をしている割には華奢な体つきの元夫は、年は一つ上で語り口が優しく、少し暗い感じで強引さも無かったそうです。

「ガツガツしていないというか。飲み会にくる男って下心を持ってるから圧がすごい人が多いじゃないですか。でも元夫は全然違ってはしゃぎすぎることもなく落ち着いていて。その余裕みたいなものは今なら分かるんですけど遊んでたからなんでしょうね。場馴れしてるというか」

携帯番号を交換してその日は終わったそうですが、忘れかけていた頃に元夫から連絡があったそうです。

「そこから付き合うようになったんですけど、跡継ぎなんで若くしてだいぶ収入があったんです。食事に行くと毎回違う店に連れて行ってくれて、どこも有名な店で料理もとても美味しくて」

ただ毎回デートはドライブの後に食事、というパターンだったそうで

「毎回ご馳走になってたからたまには私がお弁当を作って遊園地に行ったりとか、街を歩いて二人でぶらぶらしたりとか、そういうデートもしたかったんですけど、そんな要求をしてものらりくらりとかわされてしまって。今は分かるんですけど元夫は人目を気にしていたんだと思います。あんな事件を起こしていたから」

人目を避けてデートをする元夫の起こした事件とは…

そして元夫は楽しく会話できるものの、何かとらえどころがないというか自分とは噛み合わない部分があるなとは思っていたそうです。

「私の話には反応が薄いところがあって。まあでもそんなもんなのかなぁって」

ただ、穏やかで優しいところは変わらなかったそうで、収入もあり結婚するならこういう人が良いのかなぁと漠然と思っていたそうです。

付き合い始めてから一年半後、二人は結婚することに。

結婚式を無事終え、披露宴は元夫の友人達が盛り上げてくれて楽しく終えることができたそうです。
その後の二次会も大いに盛り上がり、里子さんは友人達に感謝しながら幸せを噛み締めていました。

そして場の雰囲気が少し落ち着いてきた時でした。

幼稚園から中学まで同級生だったSさんが隣に座ってきたそうです。
久しぶりにSさんと二人で昔話を楽しんだ後、小声になったSさんの声のトーンが変わったかと思うと真剣な口調で

「旦那さん結構有名な人なんだけど、いろいろ話聞いてる?」
と里子さんに尋ねました。

有名な人?

会社の跡取りでお金持ちだからみんな知っていたのかな、くらいに思っていると

「私、高校が一緒だっからさ、結構有名な人だもんね旦那さん」
Sさんの口調から明るい話ではないと感じました。

「有名?どういうことなの?」

やっぱり知らなかったんだ、納得したようにSさんが
「私から聞いたって言わないでね。里子が知らないでいるのも可哀想だから。でも当時は知らない人が居ないくらい学校中噂になった事件だから」

Sさんによると、元夫は高校三年生の時、一つ学年が下の里子さんやSさんと同学年の女子生徒を妊娠させたそうです。

「お金持ちでセンスも良いしお洒落だったから目立つ人で、校内でエッチしてるのを見たとか、女の子を取っ替え引っ替えしてるとか、とにかく女遊びが派手で有名な人だったんだけど、ある時同級生の子を妊娠させちゃったの」

唖然とし、里子さんは何も言うことができませんでした。

「噂だとそれを知った旦那さんの親が、その子の親に相当な額のお金を渡したって。それで相手の親にすぐ下ろさせるようにしてくれって。それで結局中絶したみたいだけど、その後その子が居なくなっちゃって。見つかったのが近所の公園のトイレでさ、手首を切ってたの。自殺未遂。助かったけど学校に来なくなって退学しちゃったんだよ。精神病んじゃったって話だった」

Sさんが話を続けます。

「その後、何事もなかったように学校生活を送って卒業して。でもあの人高卒で実家を継いだ後も相変わらず女の子と遊んでるって話を聞くことがあったから」

ごめんね、こんな日にこんなこと言っちゃって…
Sさんは続けてそう言うと最後に

「結婚したら落ち着いてくると思うけど、里子も気をつけてね」

そう言われてふと元夫に目を向けると、グラスを手に取り仲間たちと無邪気に笑っているところでした。
…過去のことなど微塵も頭に無さそうな笑顔。そして周りの仲間も知ってて祝福しているのだろう。

もし、この話を元夫に問いただして本当であれば…
結婚するのを止めていたのかも知れない。

そう思う里子さんでしたがその時すでに息子さんがお腹の中にいたそうです。

「私と出合う前の話で直接は関係がないのですが、夫婦になった以上、元夫の過去の過ちを自分も同じように背負ってしまった気になりました」

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この記事を書いた人

〖プロフィール〗

〖妻と愛犬と暮らす50代サラリーマン〗

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